こんにちは。南瓜(かぼちゃ)です。
私はSNSのXで、過敏性腸症候群(IBS)についてよく情報交換をしています。
そのなかで、ガス型・便秘型・下痢型・混合型――それぞれのタイプに、違った苦しみがあることに改めて気づきました。
でも時々、こんなポストも見かけます。
「私は下痢型だけど、ガス型がうらやましい」
「私はガス型だけど、下痢型がうらやましい」
どのタイプも本当に大変なのに、お互いに“見えていない部分”がある。
そう感じたことが、この記事を書くきっかけです。
私は、下痢型IBSに長年悩まされてきました。
そして今回、「下痢型ってどんなふうにつらいの?」と感じている方に向けて、
ほんの一部でも、この見えにくい苦しみを知ってもらいたいと思い、この記事を書いています。

下痢型のリアルを語ろうと思います。
以下の内容は、私個人の症状であり、IBS下痢型の全員に該当するものではありません。あくまで参考例として読んでいただきたいです。
そもそもIBS下痢型とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスや自律神経の乱れなどをきっかけに、腸が過敏に反応してしまう病気です。
主に「下痢型」「便秘型」「混合型」「ガス型」などに分かれます。
私が苦しんでいるのは、**「下痢型」**と呼ばれるタイプ。
特徴は、突然の腹痛と強い便意に襲われ、すぐにトイレに行かないと間に合わなくなることです。
しかも、その「急な便意」がいつ来るのか、まったく予測がつきません。
朝の通勤通学、授業中、バスや電車、人と会っているとき――
どんな状況でも関係なく、突然襲ってきます。
この「不意打ちのような腹痛と便意」こそが、下痢型IBSの最大の特徴であり、
日常生活を制限してしまう原因でもあるのです。



そんな症状がある中、トイレに間に合わなかったことが何回もあります。数えきれないほどです。排泄を失敗するたびに、人としての尊厳が失われていく感覚に陥ります。
「ガス抜きができない」という絶望感
まず、知っておいてほしいことがあります。
「ガスを出すと、下痢も出る」という現実です
「ガスが溜まって苦しい」と聞けば、多くの人が「おならすればいいじゃん」と言うかもしれません。
でも私の場合、ガスを出そうとすれば、下痢も一緒に出てしまう危険があります。
だから出せない。ガス抜きができない。
苦しいのに、出すことも許されない。
常に腸内が張って、冷や汗が出て、動悸がして、意識が遠のくような時間をやり過ごすしかないんです。
トイレに間に合わなそうな場合、ガス抜きができないので、出ようとするガスを抑え、痛みに耐えてガスが逆流してくれるのを待ちます。もちろん毎回抑えられるわけではなく、ガスと下痢が出てしまうこともあるのです。
トイレがなければ、どこにも行けない
下痢型IBSにとって、「トイレの場所」が生きるか死ぬかの境界線です。
・電車に乗る
・バスに乗る
・授業を受ける
・人と会う
そのすべてに、「トイレがすぐ行ける場所か」というチェックが入ります。
これがNGなら、行動そのものを諦めることもあります。



なにより困るのは ”移動” です。通学が出勤するときなどもそうですが、移動するときに必ずトイレが近くにあるルートを通るのは不可能です。家から出るだけで「漏らすかもしれない」という恐怖に襲われます。
【体験談】
私の症状がもっともひどかったのは、高校時代です。
ある定期テストの時間中、突然、激しい腹痛と便意に襲われました。
恥ずかしさもありましたが、勇気を出して手を挙げ、監督の先生に「トイレに行きたいです」と伝えました。
先生はすぐに許可を出してくれて、私は教室から約20メートル離れたトイレに向かって駆け出しました。
あと少しで個室にたどり着ける――そう思った瞬間、腹痛がさらに強くなり、
その場にしゃがみ込んでしまいました。
「絶対に漏らしたくない」「ここで出してはいけない」
そう思って、ガスも下痢も必死にこらえました。
でも、我慢の限界はすぐに訪れました。
目の前にトイレの個室があるのに、間に合わなかったのです。
気づいた瞬間、頭が真っ白になって、体が震えました。
汚してしまったこと以上に、
**「誰かに見られたらどうしよう」「笑われたらどうしよう」**という恐怖でいっぱいでした。
「下痢って、ただトイレ行けばいいだけでしょ?」という誤解
よく言われる言葉です。
「整腸剤飲めば?」
「下痢止めが効くよ」
「行きたくなったら行けばいいじゃん」
でも違うんです。
下痢型IBSの怖さは “コントロールが効かないこと”にあります。
しかもそれは、「出るかも」と考えるだけで悪化するという悪循環つき。
つまり、
- 不安になる
- 腸が反応する
- 症状が出る
- 「またか」とさらに不安になる
このループを日々繰り返しているのです。
どうか、「理解しようとする気持ち」を持ってもらえたら
正直、全部理解してもらうのは難しいと思います。
わたしも他のIBSの人たちも、すべてを語るのは難しいはずです。
でも、「そんな世界があるんだ」と知ってもらうだけで、救われることがあります。
私も、
- トイレの場所を一緒に確認してくれる友人
- 「途中で抜けても大丈夫だよ」と言ってくれた先生
- 「辛かったね」と言ってくれた同僚
…そういう人たちの存在が、生きる力になりました。



IBS下痢型は、毎日が腸と不安との闘い。
笑って過ごす裏で、何度もトイレのことを考えている人が、きっとあなたの周りにもいます。どうか、ほんの少しだけでも。
この記事を通じて、下痢型という見えない苦しみの存在を知ってもらえたら嬉しいです。
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